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2016-05-19 コンテンツの周期と寿命―③番外編:オリジナルスマホゲームと広告と周期

ここ数年、スマホゲームのCMが多く見られるようになりました。

そこで少し脱線しますが、コンテンツの周期と寿命の番外編として、オリジナルスマホゲームと広告と周期に関する関係性を分析してみたいと思います。
前回の調査で、スマホゲームの周期は平均2年2カ月でした。記事はこちら:②オンラインゲーム4周期説、携帯・スマホゲーム1年周期説はホント?!

そこで、今回はオリジナルスマホゲームにチューモク!

なぜオリジナルゲームなのかというと、上手くやれば、長命化し、ロングランが見込めるコンテンツだからです。
オリジナルのスマホゲームは版権(IP)自身を自社で持ち、コントロールが容易です。
それに比して、「ワンピース」などの著名版権(IP)ゲームの場合、許諾の使用期間が設定されているため、オリジナルスマホゲームに比べ短くなりがちだからです。

また広告視点でみると、著名版権ゲームは、許諾を受ける際に版元に提出するゲーム企画書の他に広告計画も必須だったり、すでにヒットしたゲームシリーズのスマホ版移植の場合、固定ファンがついているので事前告知も含め、大々的に広告をすることが多いのですが、一般的にオリジナルのスマホゲームは事前登録の告知や広報の方が主で、発売前にメディアにCMや広告掲載、メディアタイアップなどに大型予算を投下することはほぼありません。

※広報とはメディアにリリースを送り付けて記事にしてもらうPRのこと、広告はメディアにCMや広告を掲載することと、シンプルに分けて書いてます。

つまり、オリジナルゲームの場合は面白いか面白くないかのユーザー評価頼りで、まずは小ヒットを目指さなければなりません。

「小ヒット」に触れましたが、小ヒットや売れてきたと企業が判断する指標やボーダーラインは一体どこでしょうか?
広告など援護射撃をしてくれるステージはどこが目安になっているのでしょうか?

そこでiOSとAndroidでの両方でリリースされたアプリで、最近の人気スマホゲームを取り上げてみました。

paz&mon

※パズドラ:ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」で、ニュースリリースの国内ダウンロード数から引用
(公式に書かれていないが、同一端末による再インストール等などの重複ダウンロードは含まれていないとのこと)
※モンスト:ミクシィの「モンスターストライク」で、公表されている「世界累計利用者数」から引用
(2015年5月20日以降は公表数字がいないため、網線処理)

まずは「パズドラ(正式名:パズル&ドラゴンズ)」です。
iOS版を2012年2月20日に、Android版を同年9月18日にリリースし、今年2月20日に4周年記念を迎えた大ヒットゲームです。
iOS版から8か月後、Android版から3週間後の2012年10月8日に150万ダウンロードに達成し、数日後の同年10月12日からテレビCMを開始しました。
覚えている方も多いと思いますが、当初のCMは「パズル家御曹司パズ」と「育成RPG家御令嬢ドラ」が登場した、「パズ」「ドラ」と呼び合う中世の男女CMでした。
このCMをきっかけに、それまで月毎に10万ダウンロードで増加していたのが、月100~200万ダウンロードと躍進的に伸びていきます。

また中世編CM以降は、プレイ操作編やダンス編、タレントの嵐編やアニメ編など、シリーズCMというよりも全く違うコンセプトアプローチでのCMがこれまで流されてきています。

「パズドラ」から1年半以上経った、2013年9月27日にiOS版、同年12月15日にAndroid版をリリースしたのが「モンスト(正式名:モンスターストライク)」です。
後に説明する「黒猫のウィズ」よりも、かなり後発でのサービス提供となりました。
モンストはリリース4か月後の2014年2月15日に300万利用者数(※同社は世界累計利用者数でのカウント)となった後、同年3月1日にCMオンエアが開始されています。

当初のCMは学校編、パジャマパーティ編、居酒屋編の3パターンがあり、4人組の仲間の一人がすっ飛んでいくといったCMで、マルチプレイとひっぱりハンティングの訴求を比喩的な表現を用いていました。
(個人的にはこの後のふんころがしのCMの印象が強く、このシリーズのカーリング編や囲碁編が好きです。)
ゲームには珍しく一貫性のあるシリーズCMを流していました。

パズドラのダウンロード数とモンストの利用者数との比較は好ましくはないのですが、グラフの推移だけを見ると、モンストは後発にもかかわらず、すごい勢いで伸びました。
特に、9月、12月という年末年始前のタイミングにリリースしたことがパズドラを追い上げる一因になったように思います。

 

shiro&kuro

※黒猫のウィズ、白猫:コロプラのホームページ「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」「白猫プロジェクト」の世界ダウンロード数から引用

モンストとのリリース時期では前後してしまいますが、パズドラの1か月後にリリースされたのが、コロプラの「黒猫のウィズ(正式名:クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ)」で、2013年3月5日にAndroid版、4月22日にiOS版が登場しました。
リリース2か月後の5月に100万ダウンロード、4か月後の7月に300万ダウンロードを迎え、5か月後の8月19日からCMがオンエアが開始されています。
リアルな黒猫が出てくるCMです。

パズドラのダウンロード数と黒猫のウィズのダウンロード数のカウント方法が違うのでそのまま比較はできませんが、パズドラから1か月遅れとしてもすごい数字です。

そして、同社の姉妹シリーズ「白猫(正式名:白猫プロジェクト)」はパズドラ、モンスト、そして自社の黒猫のウィズよりもかなり後の、2014年7月14日にAndroid版、同年同月25日にiOS版が提供されるわけですが、サービス開始後わずか10日で100万ダウンロード、16日目の7月30日に200万ダウンロード突破し、広告投下前にも関わらず急速に増加していきました。
しかし、この白猫は少しばかり広告戦略が違っていました。

それは2014年8月1日には白猫になった元AKB大島優子CMが放映されます。
何を言いたいかというと、リリースわずか半月でテレビCMを打っているのです。

実はテレビCMはYouTubeなどの動画配信のようにすぐに流すことができるわけではありません。
テレビCMは撮影やテレビに耐えうる制作が必要で、オンエアできるCM枠の確保や審査など広告代理店を通してテレビ局と折衝したりする時間も必要となることから、最速でも2~3か月前に準備しておかなければなりません。
増して、白猫はタレントCM、元AKB大島優子を起用しており、ブッキングを含めたら、それよりもかなり前から交渉していたことになります。
また全国にオンエアしたり、タレントを起用するだけで、億単位の予算確保も必要になってきます。

ということは、事前登録の反響を見てからという、たった1か月くらいでアクションを起こしたのではなく、黒猫のウィズの姉妹アプリとして成功を確信し、広告準備をしていたことになります。
かなりリスクを覚悟していますよね。

しかし、白猫は大島優子の起用といった話題性も含め、スピード感溢れるローンチが非常に上手く、広告を効果的に活用して大成功に導きました。

この4つのゲームはそれぞれの企業収益にも直結したゲームですので、財務面でも確認してみました。

finance

上記のように、広告費の中には今回取り上げた作品以外の広告も含まれていますが、各社の広告費は年々増加しています。
つまり小ヒットから大ヒットにさせるには、広告予算がかなり使われていることががわかります。

パズドラが4年3か月、モンストが2年8か月、黒猫のウィズが4年2か月、白猫が1年10か月とサービス提供が行われている中、各社のCMの勢いも衰えず、需要期には必ず広告が露出されています。
今の時期の広告活動はリリース当初の新規ユーザー獲得だけではなく、カムバックキャンペーンなど休眠ユーザーの復活などの効果も狙ったものもあるのでしょう。

話を元に戻しまして、以前、オンラインゲームとスマホゲームの周期について書きました。

オンラインゲームは長期に渡るゲーム開発で、ユーザー自体もスペックに拘った専用パソコンでのプレイを好んだり、ネトゲ廃人と呼ばれるマニアが多く、プレイヤー人数の規模や投資回収も考えたら、平均5年周期なのもうなづけます。
それに比べ、敷居が低くなったスマホゲームは一般のプレイヤーも取り込み、プレイヤー数のボリュームも多くなった半面、流行り廃れも早く、平均的に2年周期ぐらいで終了しています。

しかし、AppStoreやGoogle Playのランキングを見ると、この4つのように代表する人気アプリは入れ替えこそあるもの、常に上位の方に位置しています。

あるゲーム会社のプロデューサーから、当時は冠番組やCMもバンバン打っていた、誰もが知っているゲームの「今」を教えてもらいました。
メディアで見たり聞いたりすることもなくなったゲームですが、未だに月々数億円の利益を上げているようです。

オリジナルの人気ゲームはプレイヤー数や一人当たりの課金額が徐々に減ることはあっても、重課金プレイヤーが多く存在し、費やしたお金と時間に、もったいない精神や愛着も沸いてしまっているので、止めるに止められないという事情があるようです。
このように、広告で見なくなったとしても、利益を生むバリバリ現役の隠れゲームアプリが沢山あるようです。

ユーザーに認められた小ヒット・ゲームが、広告という起爆剤で大ヒットに繋がり、超人気ゲームとなっていることもありますが、息の長いロングラン・ゲームになるには、ユーザーとの風通しのよいコミュニケーション体制やゲーム内イベントやコラボ、またはアニメ化、コミカライズ化、または顔の見えるリアルなイベント開催など、飽きさせない刺激材料を絶えず提供し続けることが必要となります。
これぞ、いたりつくせりのサービス業の極み!って感じですね。

古参ユーザーと新参ユーザーの格差、キャラクターやその進化・強化の複雑化やゲーム難易度調整、勝手気ままなユーザーの全てを満足させるのは難しいとは思います。
しかし、折角のヒットゲーム、長くプレイしてもらえるゲームになることを期待しています!!

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